夫との出会い①

自分語り

私の夫は、アンチスピリチュアル思想の人である。

しかし、私から見ると夫は、相当スピった人間である。

今回は、そんな不思議な夫とどのようにして出逢い、結婚するまでに至ったのかをお話させて頂こう。

因みに、毎度スピリチュアルを期待して下さっている皆様には申し訳なく思っているが、今回も内容にスピリチュアル要素は含まれていない。

私が正社員として働いていたある日、会社から、転勤を言い渡された。(県をまたぐ引っ越し込み)

内心、「ついに来たか。しかも割と遠いじゃねぇか。くっそ。(小声)」と思ったが、

まあ命令されては仕方がない。転勤を電話で命じてきた上司に

私 「その店、売り上げどんなもんなんですか?あんま気にしたことなかったんで。」と聞いてみた。

上司「うぅーんとね、うちの店より、ちょっと売れてるくらいかな。」

私 「え!?うちより、売れてるんですか??もうそれ、無理なんですけど!」

上司「だいじょうぶだってー。w それにほら、もうさ、仕方ないじゃん。w」

私 「まぁそうですよね…(絶望)会社の指示ですもんね…。」

上司「じゃ、そーゆうことだから、休日に電話しちゃって悪かったねー!(絶対思ってないやつ)」

当時勤務していた店舗は、長年同じ仕事に携わってきた私にとっても非常に激務で、帰りは毎日終電。

終電さえ逃すことも日常茶飯事だった。

「この店舗より売れてるって、これ以上忙しくなるってことだよなぁー…しんどいなー…」

そう思いながらも私はしぶしぶ転勤を承諾し、都内の店舗から大自然豊かで広大な土地の店舗にぶっ飛ばされたのだ。

そしてこの転勤先で夫と出逢うのである。

さて、東京近郊に住んでいた私にとっては未知の世界である転勤先への引っ越しは、母の協力もあり何とか無事に終わった。

不動産屋に行ったり、部屋に届いた家具を組み立てたりと、一日中てんてこ舞いだった。

なんとか暮らせる程度の部屋が完成し、「もう十分だね。そろそろお母さんも帰るようだしね。」と、引っ越し作業を手伝ってくれた母と共に家を出て、たまたま家の近くにあった吉野家の牛丼を食べに行った。

2人とも朝から動きっぱなしだったが、もうその時間は夕暮れ時だった。

他愛のない会話をしていた。

牛丼を食べ終え、私は母を駅まで見送ってから勤務先へ挨拶に行こうとしていた。しかし母は

「見送らなくていい。ここでいいから、勝手に帰るから、早く挨拶しに行ってきな。」

と言い出した。

私「え、なんで?駅近いんだし、まだ時間あるし、見送るよ。」

母「いいから!!本当に、ここでいい!!見てるから、早く行きな!!」

母は頑なにそう言って聞かないので、私は吉野家からそのまま勤務先へと向かうことにした。

夕焼けがとても綺麗だった。

自転車に乗りながらふと振り返ると、母が私に手を振ってくれていた。

その姿を見た途端、何故か急に涙が溢れ出てきた。

もう母の表情など見えないくらいの距離だったのに、遠くからでも母が泣いているのがわかったのだ。

『またいつでも会える。』

そんなこと、お互いわかりきっているのに、胸が締め付けられるような感情が込み上げ、涙が溢れたのだった。

知らない場所で全く知らない人々に初めて挨拶をしなければならない時、きっと誰もが緊張するものだろう。

しかしその時の私は、初めての挨拶の緊張と、またひと味違った緊張感にも支配されていた。

緊張に緊張が重なるという、2重のストレスである。

母には申し訳ないが、ついさっきまでのエモーショナルな気持ちは店に着く頃には既に吹っ飛んでいた。

その理由は、勤務先の上司の前評判であった。

転勤が決まり、誰もがまず第一に気になるのは、自分の上司がどんな人物なのか?ということだろう。

私は転勤が決まってから、自分の新たな上司となる人物の評判をあらゆる人に聞きまくった。

そして絶望した。

皆が揃って「パワハラ系って聞いたよ。」と言うからである!!

私は無神経さと繊細さを同時に併せ持つ面倒な人間であるが、「パワハラ」だけは無理。

パワハラと言っても様々なタイプがあるが、とにかく1番嫌悪しているのは

ただその時の「気分」で当たり散らすタイプ。あと、まるでルーレットで決めたかのように、ダーゲットを一人に絞って怒り、怒鳴り散らすやつ。

「そんなヤツ、なかなかいないだろ。w」と思ったそこのアナタ。私が思うに、貴方の周りの環境は実に稀である。自分の労働環境に感謝を捧げて生きるべきと、心からお伝えしたい。

この世界は、こんな奴がそこら中に生息しているのだ。

言っておくが決して怒られるのが嫌なわけでは無い。ミスをすれば怒られて当然なのだから。

そうゆうレベルじゃなくて、これを過去に体験済みの私としては、もうこんなのはナンセンス過ぎるし、精神衛生上マジで良くない。と、魂レベルで確信していた。

そして今後、こんな意味のないパワハラに耐えてメンタルがズタボロになるくらいなら、いつだって仕事なんて辞めてやる

と、断固桜木並みの断固たる意志を持って生きていたのだ。

新しい上司はパワハラ系☆」という電子漫画のタイトルにでもありそうな情報を得た私であったが、

新たな上司が一体どのタイプのパワハラ属性なのか、聞いてもそこまで詳しく知る人物は居なかった。

だが私はこの事実を知った上で黙って転勤するようなお人好しキャラでは無い。

私「転勤先の上司がパワハラ系って複数人から聞いたんですけど。もし本当にパワハラだったら、即退職して帰って来ます!本気ですから!

と、電話で転勤を指示してきた上司にギャーギャー騒ぎ立てた。それを聞いた上司は

上司「そんなこと言わないでよ、もうさ、パワハラなんてきっと昔のことだよ、昔の。今は違うと思うよ。」

私 「『今は違うと思う』ってことは、パワハラ系って噂じゃなくて本当ってことじゃないですか!?」

上司「え!?あぁ…まぁ、うん。でも本当に、昔のことで今は違うと思うよ。だいじょうぶだよぉ。w」

私 「とにかく、気分で怒鳴られたり威嚇されたりしたら、マジで速攻辞めます。無理なんで。」

上司「それは仕方ないけどさぁ、でもせめて、1年間くらいは頑張ってみてよぉ。ほら、俺のメンツってのが、あるじゃない。一応さ。ね、だから最低1年は、絶対頑張ってよ。

私 「………()」

転勤直前に、こんなやり取りが繰り広げられていたのである。

2重の緊張の意味がご理解頂けたであろうか。

私は店に着いて、まず店内を1周した。社員らしき人は特に見当たらなかった。

内心ホっとしたが、まだ従業員部屋をノックする気になれず、店内をもう1周してみて回った…。

フラフラと無駄に歩きながら「もう覚悟を決めよう。そして挨拶だけして、さっさと帰ろう。

そう決心して、やっと従業員部屋をノックしたのである。

『コン・コン・コン…』

そして遂に、噂の「パワハラ上司」と初対面の時を迎えた…

<続く>

最後まで読んで頂き、ありがとうございました☆彡

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