2023年の8月。
私の日課は、「空を見続けること」だった。
以前、パートとして働いていた店を辞めてから、2年余りが経過していた。それが去年の初夏のことである。
しかし私は、パートを辞めて2年経っても新たな仕事を探す気持ちには全くなれず、ひたすら家でウジウジしていた。
人間関係にこれでもかと振り回されうんざりしていた私は、とにかく
『もう他人と関わりたく無い。』とか、
『何かやるにしても、自分一人で出来ることでお金を稼ごう。』というような想いでいっぱいだったのだ。
同じ頃、私はひたすら動画視聴の沼に陥っていた。
都市伝説やオカルト系がとにかく大好きで、観ては不安にかられてモヤモヤするという、しょうもない毎日を送っていたのである。
少し脱線するが、特に、今でも大好きなのが「都市ボーイズ」の早瀬さん。
私は大好きな早瀬さんが集めていらっしゃる呪物を展示公開する呪物展に行きたくて行きたくて仕方が無かった。
しかし、夫をはじめとする家族全員、更に全知り合いから「お前は絶対に行くな!」と言われたため、呪物展に行くことを諦めたのもこの時期である。
普段は何の口出しもしない父ですら「マオは行かない方がいいって本人に伝えて」と言っている。と、母から聞かされた。
家族全員、全知り合いからの何時にない猛烈な反対を受け、当時の私は呪物展に行くことをしぶしぶ諦めたわけだが、今はみんなから「行くな」と言われた意味が、少し理解できる。
当時の私は深く考えず、早瀬さんに会ってみたいという一心だった。しかし「行きたいけど、そんなに反対されるとは。でも、全知り合いが反対するのを押し切ってまで行くことないかー。」と思い、諦めたのだ。
この時の判断は、ナイス!自分。である。
早瀬さんのことは変わらず今も大好きだが、なにしろ早瀬さんと共にあるのは特級呪物たちだ。命拾いしたと思う。
話を戻すが、このように私は、常に呪いや都市伝説・地球滅亡の予言・更にはこの世界の裏側とか闇とか消された歴史とか、そんな情報に2年間以上触れ続けていた。
この世界の闇の勢力にそれはもう心底絶望し、自分や愛する人達の将来に多大な恐怖心を抱いていた。
それに加えて、誰からも見られていないのに他人の目を気にしまくり、ひたすら家に引き籠っていたうじ虫女だったのである。
しかし、このうじ虫状態の私を変えてくれたのが、岡田斗司夫さんこと、斗司夫ちゃんだった。
私は斗司夫ちゃんのYouTubeが大好きだ。
初めて斗司夫ちゃんを目にした時、斗司夫ちゃんは私の大好きなジブリ作品について語っていた。その時は「なに言ってんだ?この人?」と、かなり否定的に懐疑的に観ていた。
だが、そのままなんとなく様々な話を聞いている内に「この人の話、マジで面白いし、すごい!」と思い、尊敬するようになった。
必殺技、手のひら返しの炸裂である。
手のひら返し以来、斗司夫ちゃんがおススメしてくれた映画やアニメを可能な限り鑑賞しては、なかなか言語化できない感情に見舞われ、その度に、全ての現象を客観的に見つめ言語化して私たちに伝えてくれる斗司夫ちゃんを尊敬していた。
因みに斗司夫ちゃんがサイコパス全開で「アハハハハーー!!!」と笑う時、私はいつも必ず同じテンションで馬鹿笑いしている。
こんな時私は嬉しくて仕方なくなり、斗司夫ちゃんを『心の友』に認定したくなる。
笑う瞬間とテンションが他人と完全に一致しているということは、私にとって稀なことだからだ。
わけのわからない日常赤裸々恥晒しブログを書いているだけの私に一方的に『心の友』認定されても、斗司夫ちゃんからしたら迷惑以外の何物でもないことは理解しているが、いつか、もし本人に会えたらこの嬉しい気持ちを伝えたいなと、密かに思っている。
そしてそのために、東京に出たら吉祥寺の喫茶店を覗いて見て回ろうと密かに思っている。警察に通報されない程度に。
さて、ある日、大好きな斗司夫ちゃんがYouTube動画で
頭の中で考えていることを箇条書きでいいからノートに書き出してみると良い。と教えてくれた。
「書き出す内容は何でもいい。今自分が気にしていること、思っていること、頭の中で悩んでいることをノートに書く。すると、ノートに書き出したことは頭の中から取り出された状態になり、脳内に隙間ができる。この隙間がとても大切なのだ。」と言っていた。
「これは携帯のメモ機能を使うのではなく、自分の手で書くことが重要。」とも言っていた気がする。(この情報に関しては私の解釈と記憶が混同されている可能性があるが、大体こんなことを言っていたと思う。)
その動画は、恐らく斗司夫ちゃんが考案し推奨されている、天才をつくりだす「スマートノート」に繋がる話だったのだろう。
しかし!
先程説明した通り、当時の私は、なんだかわけがわからないほどウジウジモヤモヤしていて、ふと気づくと脳内をネガティブ思考がMAX占拠していた。
常に自分のことや世の中の出来事、他人のこと、不安な気持ちや恐怖心でいっぱいだったため、ものすごくストレスを感じていたのだ。
そのため、『頭が良くなる!』とか、『論理的思考の能力を伸ばす!』とかではなく、
ただ脳内の思考を取り出せて、そこに隙間が生まれる!ということに、なんだかめちゃくちゃトキメキ、心を動かされたのだった。
「書くだけで頭の中が整理される!?マジか!これなら私にもやれそうだし、とりあえず、やってみよう!(ง •_•)ง」
急にそう思い立ったのだった。
そう、他人が思う以上に、当時の私は相当ウジウジモヤモヤしていた、うじ虫大発生女状態だったのだ。
あのときの自分、頑張れ…。私はここから応援している。全力で。
こうして2023年8月、
『頭の中で考えていることを書き出す』作業を開始する決心をしたのである。
因みに、新年に向けて新しい手帳を買い「来年こそ毎日1年間日記をつけよう!」などと張り切って決意しても、365日続いたことはこれまで一度も無い、根性無しの私である。
そんな私が斗司夫ちゃんのノート術を実行するにあたり、心に決めたことが2つあった。
ひとつは、絶対に、無理はしないこと。
書きたいときにだけ、書く。次の日にまとめて書きたくなることもあるだろうし、そもそも書く気にならなければ無理して書かなくてよい。
例えば「毎日必ず日記を書く」とか、その目標設定がそもそも私には合っていない。
『どうせ私はやりたいことしかできないんだから。』と、始める前からハードルを地面まで下げたのである。
もうひとつは、絶っ対に、かっこつけないこと。
自分以外の誰かが読んでも恥ずかしくないように文章を気取ったり、本心を隠して記すことは絶対にしない。
これって、日記やメモ書きを残す時に誰もがやりがちなことではないだろうか??
少なくとも私自身がかつて書いていた「日記」に関しては、ふと読み返してみると、これは一体誰に向けて書いてるのか?自意識過剰、極まれり!…と思うくらい、クソ気取った文章と内容だった。
そして肝心な自分の本心を書けないもんだから、振り返ってみてもつまらなくて次第に飽きてしまう。この繰り返しだったように思う。
『万が一、誰かに読まれても当たり障りのない内容しか残さないのはあるある』だと、斗司夫ちゃんも言っていた。
『しかしそれだと、振り返っても非常につまらない内容になってしまう上に、意味が無い!』と、きっぱり言い切っていたのだ!
マ・ジ・で、そうだな!!と腹落ちしたため、私は固く心に決めた。
誰に読まれたっていいんだ。狂ってると思われたって別にいい。本心だけを書くんだ。と…。
さて、そんな誓いを立てて早速、自分の頭の中に湧いている思考を、箇条書きで書き出してみた。
実際にやってみて、すぐにわかった事がある。それは…
普段ウジウジモヤモヤ考え続けていることというのは、実にくだらないことばかりで、そのくだらないことに永遠に気を取られ、考え続けている。という、衝撃の事実だ。(私の場合。)
例えば、私が初日に書き出したことは
…皆様、どう思われただろうか?
…言っておくが、当時の私は大まじめに、自分の思考を振り絞って、これを書いている。
振り絞られた思考が短い文章となり、これを自分の目で見て、先ず私は、
「毎日暑すぎる」って…。これ、本当に悩んでるつもりか?あ?(ㆆ_ㆆ)と、自分自身に言ってやりたくなった。
次に、「やりたい」と思ってて行動に移せていないだけのことが、まぁ多い。
うだうだ言ってないでさっさとやれ!自分!(╬▔皿▔)╯
動画視聴の沼から抜け出したい⁉…そんじゃぁ観なきゃいいだろ⁉
歯医者に行きたい⁉…そんならさっさと予約しろ!!
痩せたい⁉…なんなら今から運動、してこいやーーーーー!!!!
このように、自分への辛辣なツッコミがしばらくの間止まらなかった。
初めて「ノート術」を実践してみたことで、とにかくJust do it!自分!ということに気がつき、ハッとさせられた。w(゚Д゚)w
更に「自分では悩みを解決できない」と思い込んでいただけだった。と、自分の思い込みに気付くことができた。
『クソよりくだらない(失敬)悩みにかける時間がもったいない!私の優秀な脳みそは、そんなに暇じゃないんだよ!!ムキー!!!(╬▔皿▔)╯』
…と、心の底からムカついたことで、初日にして、ウジウジと悩む時間が大幅に減ったのであった。
こうしてノートに書くことを続けるうちに、いつの間にか、自分が書き出したことに対して考え込まずに可能な範囲であれば即実行するようになった。
「行動の変化」が起きて来たのだ。
例えば「スマホ依存・動画視聴の沼から抜け出したい」と書いてあれば、次の日には実際にデジタルデトックスをしてみるという、とても単純で小さなことである。
これは私が書き出した内容がとても小さなことだったから実行できたのかもしれない。
しかし、どんなに小さなことでもくだらないことでも、「ノートに書く」という行動を取っていなかったら、いつまで経っても「デジタルデトックスしてみようかな」という思考だけが脳内に居続けて、『実際にやってみる』という行動には辿り着けていなかっただろう。何とも不思議だが、今振り返るとそう思える。
一つの小さな行動が、また次の行動を促し、ポジティブに連鎖して行く。
これに気がつけたことは、私にとって、とても大きな変化だった。
更に、実際にデジタルデトックスを『やってみた』結果「自分がどう感じたのか」を、後から追加メモするようになった。
私はとても忘れっぽい。憶えていようと意識しても、いつの間にか忘れている。
「せっかく行動したのに振り返れないのはもったいない!」ということで、やってみたついでに、ひとこと感想を書いて、効果を振り返ることが出来るようにしたのだ。
こうして、ノートに書くことが習慣になると、自分だけが知っている、自分だけのための小さな行動の「成功体験」が積み重なり、より『やってみる』ことに対してポジティブに取り組むようになっていた。
ここまで小難しく書いてしまったが、実は至ってシンプル。単純に、やりたいことをやってみることが楽しくて嬉しくて、ワクワク感が生まれていたのだ。
この頃になるともはや斗司夫ちゃんのノート術とは全く別物の「自己流」にアレンジされたノート術となっていたが、同時期、スピリチュアルに関して興味を持っている自分自身に気がついた。
量子力学・松果体・カルマや業・輪廻転生・魂・二極化など、興味が湧いたワードをメモし、調べ続けた。
こうしてそれまで培ってきた、ちょっとした行動力が功を奏しどんどん加速して、スピリチュアルをひたすら調べまくる、という生活が始まったのだ。
私は好きなことや興味があることに関してはひたすら没頭して取り組む質であるため、それは凄まじいスピードだったと思われる。
2023年8月下旬、
「最近ずっと、空が変。空が気になる」とノートに書き出した。
しかし、具体的にどこがどう変なのか?自分でも全くわからなかった私は
「そんじゃあとりあえず、毎日空を見続けて観察してみよう!」と決意した。
こうして、昼過ぎから夕暮れ時まで、毎日3時間程、ひたすら空を眺める毎日が始まったのである。
何かわからないけど、『見続けていたら、何かわかったり、見えたりするかもしれない!』と、本気で思っていた。
そんな時、たまたま母から電話がきて「何してたの?」と聞かれ、
私は「今、空見てた。」と正直に答えた。
母 「え、なんで?」
私 「なんか、空が気になるから。UFOとか龍の神様とかワームホールとか、ずっと見てたら見えるかもしれないじゃん。」
母 「へぇー…(困惑気味)。いつから見てるの?」
私 「毎日昼過ぎから、3時間くらいかな。」
母 「(⊙﹏⊙)!?!?…ちょっと、ダイジョウブ?流石にやばいよ、それ。ほどほどにしなよ。」
私 「はいよー。」
母は笑っていたが、『コイツ、とうとう来るとこまで来たか…』というようなドン引きっぷりであった。
しかしそんなことは全く気にせず空を観察していたある日、とてもよく晴れた日に、私はいつもより目を凝らし、目に力を入れて空を見つめていた。ಠಿ_ಠ
すると、だんだんと視界の隅がモヤモヤ~っとなり、まるで時空が歪んでいるように見え始めたのである!!
「やっばーーーー!!遂に、時空の歪み、キャッチしたーー!!」
一瞬にして大興奮の私。ひとりで飛び上がり、叫んでいた。
その後、目を細めてみたり、瞬きせずに目を凝らしたり色々していると、今度はなんと、視界に何かがふよふよ~と飛んでいるのが見えて来た。
「え、え、えーーーー!!!!なんか、飛んでるけど!?やばくない!?なにこれー!!ちっちゃいUFO!?」
その飛び回るモノの動きをひたすら目で追っていると、すぐに、どうやらなにかがおかしいことに気がついた。
「あれ、この飛んでるように見えてるのって、もしかしたら私の…目の錯覚?目の症状?かも…」
速攻、パソコンで調べた。
「飛蚊症」・・・ಠ▃ಠ
皆様、ご存知だろうか。「飛蚊症」とは、主に加齢などが原因で起こる目の病気である。(この症状は多くの場合はほっておいても問題ないらしい。しかし、中には怖い目の病気の前兆として現れる場合もあるそうだ。)
私が見えてたものは、この「飛蚊症」の症状そのものであった…。
母の言う通り、ほどほどにしておけばよかったなと心から思った。
そして「空を見続けた結果、飛蚊症だということがわかった」
と、虚しい結果をノートにメモしたのである…
おしまい
斗司夫ちゃん、いつもありがとう。今もノート、続けているよ。最後まで読んで下さった皆様も、本当にありがとうございました!
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