封印された箱

スピリチュアル

年末といえば、スピリチュアルが好きも嫌いも関係なく取り掛かる行事の「大掃除」

大掃除といえば、みんな大好き「断捨離」という大イベントの時期であるとも言えるだろう。

昨年からスピリチュアルに目醒めた私は、ひたすら心身ともに身軽になりたいと思っていた。

そのため2023年度の年末に向けて、自らの「物への執着」とかその他諸々色ーんなしがらみをを断ち切るために、かなり早い時期から、せっせと断捨離に勤しんでいたのだった。

我ながら思考も行動も実に単純明快である。

靴も服も、ひたすら処分した。もう着る予定はないがずっと捨てられなかったお気に入りの洋服たちに泣く泣くさよならを告げた。

因みに我が家では、靴下に穴が開いたり靴がズタボロになったり、食器が割れたりした時は、必ずお礼とお別れの言葉を言うという風習がある。これを何故かアンチスピの夫も抵抗なくやってくれている。

私 「靴下さん、今まで夫の素足を守ってくれて、本当にありがとう。幸せになってね。…ほら、夫も言え!」

夫 「サンキュー。ありがとん。元気でな。」

こうしてゴミ箱に「ズバン!」とぶち込まれるのだ。

普段からこんな調子で、断捨離も1つ1つにお礼を言いながらお別れをするのであるが、実は私にはどうしても、どう頑張っても捨てられずにいるあるものの存在があった。

そのあるものは、普段は私の脳内で存在感を完璧に消してひっそりと佇んでいるため、私はその存在をすっかり忘れて生活を送っている。

しかし、引っ越しの時や、今回のように本気の断捨離時なんかになると「ココに、います。」と言わんばかりの強オーラを放ち、その度に私を悩ませるやっかいなヤツなのである。(私はオーラは見えません。雰囲気の話)

あるものが存在するゾーンは、最後に取り掛かろう。と断捨離を始めた時から決めていた。

そして『きっと私はまたあれを捨てられないのだろうな。』とも思っていた…。

我が家の断捨離は何か月にも渡って行われた。

とは言っても、夫の物に私は完全ノータッチである。我が家ではお互い自分の物は自分で管理しているのだ。

夫は持ち物がとても少なく身軽な人で、自分の物を完全把握し管理している。

私のように収集癖も無いため、全く物が増えない。常に自分だけは断捨離後のようにスッキリした状態なので、物への執着心が女海賊(ドーラ)並みの私からすると、こんな時ばかりは少しだけ羨ましい。

夫の物以外、家の中のキッチンやリビングにおいては全て私の管轄。掃除も、水回り以外は私の管轄である。

クローゼット内・リビング・洗面所の棚・キッチン、の順に断捨離と大掃除は進んで行った。

ここまでは順調だった。

そして遂に、あるものがひっそりと眠る場所に辿り着いた。「寝室のクローゼット」だ。

私はどうしても捨てられずにいたあるものには一切触れることなく、「夫の物」以外の物を1から確認しては、処分を進めて行った。

最後に、あるものが眠る段ボール箱がひとつ、残された。

「これだ。ついにここまで来た。どうしよう…。」

私はその場に座り込んで本気で悩み、数分間、考え込んだ。そして

「まぁいっか!!この箱、もう一生開けなければいいじゃん封印だ、封印!!このまま1番上の段の奥に封印しておこう。夫がこのクローゼットを開けるのなんて見たことが無いし、私もまたそのうち忘れてしまうだろう!」

と唐突に閃いた私はこのように決断し、予想通り、この時もあるものを捨てられなかった。

しかし、捨てられない代わりに今後一生、開けないという封印をしたわけである!十分ではないか!

この封印は私が死んだ時にでも、妹か誰かによって解除されるのだろう。それで良いのだ。

こうして自分を納得させたのである。

そして無事、封印して1か月以上が経過したある日、事件は起きた…

その日、私は寝室で昼寝をしていた。夫は休日。

すると夫が何やら寝室に来てクローゼットを開けっ放し、ガサゴソと何かを探し始めた。

私 「どうしたの、なんか探し物??」

夫 「うん。携帯買った時の箱、無いかな??」

私 「今使ってる携帯の箱は残してあるよ、他はついこの前、断捨離した時に捨てちゃった。」

夫 「あぁ、そう。あったあった。これか。」

どうやら夫の探し物は見つかったようだ。クローゼットの扉は開け放たれ、物が床に散乱していたが

私 「そのままでいいよ。私この前も片づけしたから、しまっておくよ。」と私が伝えると、

夫 「あぁそう、わかった。」と言い残して、夫は去って行った。

しかし数分後、夫がすぐに寝室に戻ってきた。そしてまた何やらガサゴソガサゴソしている。

眠い目を凝らしてふと見てみると、床に散乱した物をクローゼットに戻してくれていた。

私は 「あ、やってくれるの?ありがとう!」と言ったが、なんだか申し訳ないなと思い起き上がった。

そして改めて開け放たれたクローゼットを確認して見ると、夫は携帯の箱を探すためにほぼ全ての物を床に出していた。そのため1番上段の奥に封印した「あの段ボール箱」の姿があらわになっていたのだった。

私は内心「あらら。封印したのにな。またお目にかかったわ。」などと余裕こいたままボー…っとしていた。

だが次の瞬間、

夫 「この箱、なんだろ??

とか何とか呑気に言いながら夫が、上段の1番奥に封印した段ボール箱に手を伸ばして降ろそうとし始めたのだ!

いきなりのことに私は非常に驚き、目をまん丸くして

「いぃ!!いぃ!!!それは、降ろさなくていいんだよ!!(⊙o⊙) !!

と慌てふためいた。しかし夫はそんなこと微塵も気に留めず

夫 「何が入ってるか確認しなきゃ。」と言いながら手を止めようとしない。

『この人が気になってしまったら、もうお終いだ!何が何でも確認するに違いない!!w(゚Д゚)w

でも出来うる限り阻止しなければ…!!だって、封印が解かれてしまう!!

私の心は奮い立った。

クローゼットの前でいい年こいた大人2名による押し問答が始まった。

私 「それは、もう、封印したんだってばー!!もう一生開けないって決めたのー!!降ろさないで!

夫 「封印?なにそれw。見られたくないもんでも入ってんの!?何が何でも降ろす

私 「(しまったw(゚Д゚)w!言わなきゃよかった!!!)もぉー!本当に、やめてよーー!!(必死)」

しかし私が夫の力に敵う筈がなく、私がふっ飛ばされてよろけている隙に夫は段ボール箱を降ろし、あっという間に封印を解いてしまった。

箱を開けた夫は拍子抜けを喰らったように

夫 「何だこれ、ただの昔の写真じゃん。なに、元カレとの写真がそんなに大事なの?w」とだけ言うと、瞬時に興味を失ってしまったようだ。

…しかし、こちらからしたら実にイイ迷惑である。

先ず、封印を解いたなら、解いたなりのリアクションをして欲しい。そしてせめてこちらの事情も聞いてもらいたいもんだ。

一体私がどれだけの決意で「封印の儀」を執り行ったと思っているのか!?この夫は全くわかっていないのだ。

私 「だぁかぁらぁーー!!(ブチ切れ)

もう一生開けないつもりで封印したんだってばー!!ついこの前!!

それをさぁ、なんっで、開けるのかねー!!開けなきゃもう一生見ることもなかったのにさぁ!!

なんっで、こうなるかねー!いっつもいっつも、夫の行動は!!!

怒りとは別の、「心に決めたことを、有無を言わさず覆された」ことが未だ信じられない気持ちで、ブーブーと夫に文句を言いまくった。

夫は「何だか知らんけど、そんならまた封印しとけば。あ、あと片付けといてよー。」

ケロッとした顔でそう言ってどっかに行ってしまった…。

寝室にポツンと残された私は、ひとり虚しく片付け始めた。

『くっそー。もう見たくないけど、見る気もないけど、どうしても捨てられないんだよ。なんでわかんないかなー…それにしても信じられない。なんで夫は、こーゆう時に限って今みたいな行動に出るのかなー…。』

夫によって封印が解かれてしまった現実を到底受け止めきれない私は、このようにグチグチ考えていた。

そして解かれた封印をもう一度再封印しようとしたまさにその時、急に!気がついた

『え…?ちょっと待ってよ…。

もう絶対に一生開けないって心に誓った封印を、このタイミングで、私じゃなくて夫が有無を言わさずに解いてしまったこの現実って、実はすごいことなんじゃない…!?

もしかしたら、私が長年、手放せなかったもの「今なら、手放せるよ!」って、守護存在の皆が応援してくれているのかも!!」

唐突に閃いてポジティブ思考がさく裂した私は、この閃きに従い、その場で自分の過去と向き合う覚悟を決めた

そう、私が捨てられなかったあるものとは、「過去に約10年間お付き合いした元カレとの日々を収めた写真」だったのである。

当時の私はカメラが趣味で、日々の何気ない記録を細かくフィルムカメラに収めていた。

だが、その長すぎた日々を振り返ることは今後、もうしない。

と、あの時、心に決めた。そして見ることも触れることもないまま封印したのだった。

今現在、私は本当に幸せである。未練なんてまさかあるわけがない。

当時、別れを切り出したのは私だったが、実は私は心の底から傷ついていて辛かった。

辻褄が合わないことを言っているのは承知だが、これが私の真実である。

けれども、元カレが何も言わず、何も聞かずに10年の付き合いの終わりを受け入れてくれたことには、心から感謝もしていた。

そして相手からは心底恨まれているだろうと確信していた。彼の心を深く傷つけてしまった私のことを、一生、心底最低で酷い人間だと思っているだろう。

写真と向き合う時、思わずこのような感情が溢れ出た。

まさに言葉にならない感情。

そして過去と向き合う決意をした私は、意を決して膨大な量の写真を見返し始めた。

写真は私の目線で撮った何気ない日常ばかりで、自分が写っているものはかなり少なかった。

そして10年間お付き合いしてくれた元カレの顔を久しぶりに見た。

なんだか嘘みたいに遠くなってしまった記憶が蘇り、懐かしかった。

1枚1枚、丁寧にちゃんと見た。

元カレだけが写っている写真は、「今までありがとう」の気持ちを込めて破棄しながら作業を進めた。

30分程経っただろうか。

もう写真もあと十数枚に差し掛かった頃、また唐突に急激に、今まで感じた事のない感情が溢れて来たのである。

『え…、今、わかった。この人、私のこと、本っ当に大事に思ってくれていたんだな…。』

そう思った途端、今度は涙が出て止まらなくなった。

全ての写真を見返してみて「やっと」「初めて」、当時は当たり前だったであろう事実に気がついたのだ。

実感するのが遅すぎた。もう今更、これほど湧き出てくる感謝の気持ちを伝える術など、私には無い。

しかし一切後悔はしていない。全てこれでよかったのだ。

今日、そして今、向き合うべきことだったのだ。と、不思議だが心の底から理解できた。

私はいつも、私のことしかわからない。

こんなに長い間共に過ごしていたのに、10年も付き合って別れて、それから更に何年も経った今、自分が本当に愛されていたことに、私とは違う愛のカタチで大事にしてくれていた真実に、気がついたのだ。

私はとことん、私のことしか理解出来ていなかったのだな…と思い知った。

泣いた。それは罪悪感や苦しみとは全く別の、浄化の涙だったと思う。

落ち着きを取り戻した頃、心に爽やかさを感じた。

元カレとの記憶が、感謝溢れる大切な思い出に変化した瞬間だった。

お別れをする直前の当時、私は辛かった。どこかで、私のことなどもう好きでは無いんだろう。結婚もしたく無いのだろう。と思っていた。もしかしたらその通りだったかもしれないし、違うのかもしれないが、そんなことはもうどうでもいい。

この日気がつけた真実は、今後も私の心を癒してくれるだろう。

「ガーディアンズの皆、(私のガイドさん、守護霊様、守護して下さっているご先祖様方の総称)

今日、封印が解かれたおかげで、大切なことに気がつけました。過去と向き合えました。本当にありがとうございます。」

ガーディアンズと元カレに感謝しながら、ついでに夫の過去のアルバムも見返し始めた。

私たち夫婦は、「信じられない」とか「異常」と思われるかもしれないが、お互いの過去について何の遠慮も無く話し合ったり、思い出を語り合ったりする。それについて傷ついたり、嫌な気持ちになることはお互い一切無い。どこか何かが欠落した夫婦である。

だから私の元カレの写真を夫が見ても、なんのダメージも受けない。

「過去の男を思って泣くなんて、夫が気の毒!酷過ぎる。」と心配な気持ちになって下さった皆様、どうかご安心下さい。夫をご心配頂き、誠にありがとうございます。

因みに関西に引っ越してくる際に、夫は自身の過去の結婚式の写真をアルバムごと破棄しようとしていた。

だが私はそれを止めた。

今は離れて暮らす夫の子供たちのことを思うと、夫がその家族で幸せだった時の思い出をとっておいたって良いじゃないか。と思ったからである。それに破棄したとしても、中身はバッチリ見て全て記憶していた。

話しは戻るが、どさくさに紛れて出て来た夫のアルバムを見返すことで、自分の過去だけでなく何故か夫の過去とも私が向き合ってみた。

1枚1枚、写真を丁寧に見た。(デジャヴ…。)

そしてまた、泣いた。

私は泣きながら夫の元へ行き、

私 「夫ーーಥ_ಥ!!あんたも私も、過去にちゃんと人から愛されていたんだよぉ!

あんたがさっき封印を解いてくれたおかげで、大切なことに気がつけたよぉー…!

さっきは思いっきり文句言ったけど、本当にありがとうねぇ…!本当に、よかったねぇ…お互い過去に関わってくれた人たちに、感謝しかないねぇ…ಥ_ಥ」

夫 「なんじゃ、そりゃw。で、またちゃんと封印したのか?」

私 「今までどうしても捨てられなかった写真、全っ部、感謝を伝えた上で処分しましたっ!

超絶スッキリしたぜ☆なんか、心が軽ーくなっちゃったのー!るーるるるぅー♪」(小躍り)

夫 「あらら。元カレがかわいそ。」

私 「いいの!感謝してるんだから!ちゃんと過去と向き合えて清算できたことが本当に嬉しいの!

そんでそのきっかけは何故かアンタがさっき封印を解き出したからなの!!

ありがとうなんだけどさ、まじで、なんで!?今考えても意味わからんし!!スピリチュアル、嫌いなんだよね!?なのになんでそんなスピった行動取るわけ??

え、もしかして、体乗っ取られてる??…納得いかないわー。まじで。」

夫 「………(もう全く興味なしの無視。)」

こうして、我が家において封印された開けてはならない箱は存在しなくなったのであった。

おしまい

去年起きたこの話を、夫は全く覚えていなかったんですけど。信じられない。そんなことあります!?最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました♡

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